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広報誌の作り方

◎はじめに

私たちの周りに広報紙(誌)はたくさんある。市町村をはじめ、学校、団体、企業、サークルとさまざまなところで広報紙は作られている。それでは広報紙の定義とはいったいなんであろうか。平易に言えば「広く人々に知らせ、その理解と協力を求める紙をベースにした情宣手段」といえるだろう。しかし、広報紙は発行者の単なる伝達手段ではない。発行者と読者、そして編集者が共同して作り上げ、発行していく性格のものだ。広報紙は、新聞でも、雑誌でもない。多くの場合が特定の地域、団体内の人々を読者対象として発行されている。いわば、地域内、団体内のコミュニケーションを図る手段のひとつといっていいだろう。企業、団体などが不特定多数を対象に発行する場合もあるが、それは広報紙というより宣伝紙、PR紙の性格が強い。この場合の発行は自己宣伝を目的としている。

先に広報紙は、発行者と読者、そして編集者三者の共同作業であると書いた。学校のPTA新聞を例にとれば分かりやすい。発行者は学校のPTAであり、読者はその学校に子どもを通わせる父兄である。それでは編集者はというと、広報委員会となるだろう。発行の目的はというと学校・PTA行事の告知であり、報告である。また、総会や会議などで決まった事項を伝達することや、父兄からの要望や子どもたちの声を広く知ってもらうことも目的のひとつと言える。学校と父兄、そして地域を結ぶ使命をPTA新聞は担っているといえよう。もちろん無料で、例外を除けば広告もない。発行するための経費は、毎年徴収される会費から予算化されている。発行者であるPTA役員や、編集者である広報委員会は毎年改選され、一読者(父兄)と柔軟に入れ替わる。ひとつの事柄に関係する人々が互いに協力して作り、発行していくのが広報紙本来の姿ではないだろうか。

学校などで広報委員会のなり手がいなくて困るという話をよく聞く。確かに広報紙作りは大変な作業であるが、出来たときの充実感は大きい。広報紙作りが大変だと思うのは、その仕組み、方法を知らないからに他ならない。ぜひ、これを機会に広報紙作りを楽しんでほしい。

◎発行の目的

なぜ広報紙を発行しようと考えるのか。その目的はなんだろうか。何を伝えるのか。サークルなどで初めて広報紙を作るとき、既刊紙の編集委員になったとき、最も基本的で必要な問いかけである。

既に発行されている広報紙の編集委員になるとき、その目的を正しく判断していなくては、焦点がボケた紙面になってしまう。自己主張(自己満足)で紙面を構成しても、誰も読んでくれない。発行の目的、編集方針を理解した上、読者の立場に立った紙面構成を考えることが必要である。その反面、何の主張も企画もなく、ただ単に紙面を埋めることだけを考え発行しても、魅力ない広報紙になってしまう。パターン化した紙面作りは簡単であるが、読者に期待感が湧かない。

初めて広報紙を発行する場合、まずその目的を考える。広報紙がある場合のメリットと、ない場合のデメリットを考えてみよう。団体としてメリットと考えられることが、発行の目的、そして今後の編集方針となる。広報紙の必要性を実感してないまま発行しても長続きしない。確かに広報紙を持っているか否かは、社会的な信用度のひとつであるが、当事者の考えが曖昧なまま発行することは、逆に混乱を招くこともある。

●広報紙のメリット(例)

1 言葉の伝達を文字化することで、全員が平等に情報を共有できる。

2 個々の考えを紙面を通して知ることができる。

4 個々自らが情報発信者になることができる。

5 同じ紙面を読むことにより、全体の一体感が図られる。
読んでもらえない広報紙は、発行者、編集者の自己満足にしか過ぎない。読者がいて、読者からの反応(叱咤激励、注文など)があってその存在意義が見えてくる。まして、団体やサークルの場合、自分たちで拠出した会費から発行されることを忘れてはならない。

◎発行体制の確立

1 編集委員会をつくる

※発行に先立ち編集委員会で決めること。

(1)発行サイクルを決める(週間・旬刊・月刊・季刊など)

(2)判型(B5・A4・B4・タブロイド〈日刊紙の半分〉・ブランケット〈新聞〉など)と組方(タテ組・ヨコ組)、ページ数(印刷の場合判型によるが通常8の倍数が無駄がない。最低1枚の紙の裏表2頁。3頁とか5頁という奇数は存在しない。例外的に裏白がある)、用紙、部数を決める。原稿上で数字や単位記号、欧文がたくさん出てくる場合はヨコ組の方が読みやすいし、制作上でも組みやすい。

(3)制作や印刷経費の見積もりを取り、年間の予算案をたてる。また、併せて発行の財源を確保する

(4)発行スケジュールを決める(企画会議→取材・原稿依頼・撮影→制作→校正→印刷→仕上がり→配布にいたるまでの具体的な日程をたてる)

(5)全体の基本フォーマットを考える(タイトルや段数や一段の字詰め、文字の大きさ、行数、天地左右のアキスペースを決める)。併せて割付用紙(レイアウトを具体的に指示するもの)を作っておく。字詰め、行数に合わせた原稿用紙も。文体も決めておくとよい。ですます調か、である調か。

(6)紙面(頁)ごとの担当責任者を決める。さらに原稿の責任者、校正の責任者、レイアウトの責任者などを決めるとより編集作業がスムーズに進む。一人の責任が過重にならないようにすることが大切だ。

(7)配布ルート、配布体制を整えておくこと。出来上がった広報紙がスムーズに読者の手に渡る事前準備、申し合わせをしておくこと。

 

2 編集(企画)会議を開く

※発行サイクルにもよるが、少なくても発行月の2カ月前に会議を開き内容を決定する。常に2号、3号先を見据え、(1)読者に伝えたいことは何か(2)読者が知りたいことは何かという、この2点を踏まえて企画を立てる。

ここでは、創刊号を作る場合の例をあげる。

(1)発行サイクルにあわせて1カ月、半年、1年間のおおまかな紙面構成・企画(テーマ)を考える。たとえば決まって1面を飾るテーマが同じ場合がある。これは、マンネリとも思われがちだが、発行者や団体が極めて重要な事項と考えている場合はその限りではない。総会や定例の活動など、毎年行なわれる行事は優先される。

(2)紙面割りを考える。どの面にどのような記事を入れるか。毎号バラバラでは読者に対して不親切である。日刊紙を見てわかるように基本的な面だては変わらない。政治面、社会面、スポーツ欄、県版など紙面の順番は決まっている。広報紙の頁数が多くなればなるほど紙面割は重要である。

(3)連載のシリーズやコーナーなどを企画する(会員の声や今月のニュース、クロスワードパズルなど、毎号ある固定枠)。読者が読んで楽しい企画をシリーズ化しよう。事前に読者となる対象者からアンケートをとって紙面に生かすことも重要だ。また、原稿を依頼する場合の人選も必要である。特に第三者に依頼する場合は余裕をもってお願いする。今日の明日では失礼になる

(4)創刊号に掲載する紙面構成を考える。メイン記事、サブ記事は何を入れるかを考える。今必要とされる情報は何かを基準に考えるとよい。埋め草的な記事は、いつの号でも使えるものを準備しておく。急に紙面が開いてしまったときに重宝する

(5)内容が固まったら、台割とラフレイアウト(大まかなレイアウト)を作る。掲載する写真の点数や文字数などは、取材に入る前に、事前に決めておくこと。

※内容が固まったら取材、そして原稿作成に入る

◎取材・編集・制作の方法

※編集作業の3つの基本(材料をどう集めて、どう選んで、どう並べるか)=3つの基本は『広報・雑誌づくりのらくらく編集術 西村良平 日本エディタースクール出版部』より抜粋

(1)集める 原稿や写真、イラストなど紙面に掲載する「材料」を集める作業。原稿を依頼したり、自分で取材に行って、写真を撮ったり記事を書いたりすること。

(2)選ぶ 集めた材料の中から掲載するものだけを選び、整理する作業。文章の間違いをチェックし、より正確で適切な表現にすること。

(3)並べる 材料を並べて紙面を割付用紙にレイアウトしていく作業。文章や写真などを紙面のどこに置くかを決めること。文章の書体や文字の大きさの指定などデザイン的な要素も含まれる。

1 取材と原稿の書き方

(1)紙面構成案を基本に取材、撮影、原稿依頼、執筆を行なう。この場合、編集会議で作った1面1面のラフレイアウトにそって作業を行なう。紙面に入る文字数は限られているので、たくさん原稿を書いても入りきらない場合がある。その場合、文字の大きさを小さくしたり、行間を詰めて押し込むことはデザイン上も好ましくない。

(2)原稿を依頼する場合、テーマ、主旨、文字数、締め切り日を明確に伝えること。手書きで原稿を書く人の場合は、フォーマットに合わせた原稿用紙を渡すこと。

(3)取材をする場合は、必ず対象のアポを取っておくこと。また、必要に応じて質問項目を作成し、事前に渡しておくと取材がスムーズにいく。取材した内容は、ラフレイアウトにあわせて文章にまとめる。その場合、「誰が」「いつ」「どこで」「何を」「なぜ」「どのように」という文章構成の基本を念頭におき、簡潔にまとめることが重要。文章の中の無駄を極力省くこと。メモをとるだけでは不安な場合は、テープに録音しておくと安心。また、原稿を書く場合、共同通信社発行の『記者ハンドブック新聞用字用語集』は非常に参考になる。

(4)取材した内容は、必要に応じて取材先に校正段階でチェックしてもらうこと。自分で正しいと思っていても勘違いがあるし、取材の時点から状況が変わっていることもある。

(5)担当者からあがってきた原稿は、必ず別の人間(できれば校正の担当者)が内容をチェックする。そして、疑問があれば担当者に確認し、原稿内容の精度を高めること。また、あわせて文字数、誤字、脱字、文章表現(差別的表現・不快用語)などをチェックする。文字数が多ければ整理し、少なければ加筆する。特に大見出しは重要である。本文の内容をズバリ表現する見出しは、読者の「読もう 読みたい」という意識を高揚させる。新聞社でいう記者→編集デスク→校閲→整理の仕組みを取り入れるとよい。

(6)人物写真を使う場合、公的な職務風景を除いて肖像権が発生するためスナップであっても掲載許可をとること。複数が遠くから映っている場合(運動会や講演会、一般の風景写真)はその限りではない。また、文献資料を引用するときも、その出典を明らかにしておくこと。引用と転載とでは、著作権の扱いが相当違ってくる。

(7)原稿ができたら紙面のレイアウト(ラフレイアウトを基本にして、具体的な割付を行なう)を作る。レイアウトは、割付用紙上で行なう。この場合のレイアウトは限りなく仕上がりに近いものを作る。大見出し、リード(本文の要約)、小見出し、本文、写真、キャプション(写真説明)、イラスト、図表など紙面を構成する材料をいかに見やすく配置することができるかで、紙面の印象は大きく変わっていく。

※レイアウトの進め方

(1)原稿や写真、図版の内容を確認する。

(2)本文の行数を計算する。

(3)見出しや写真、図版の分量をおおよそ確認する。

(4)割付用紙を使ってレイアウトする。文章、見出し、写真、図版の位置を書き入れる。

◎制作の進め方

(1)現在では、写植やタイプ、活版などで広報紙を作ることは皆無となった。多くは、コンピュータを用いた紙面制作になっている。印刷会社に入稿する場合は、1面ごとの紙面レイアウトとフロッピー、または原稿・写真を整理して渡すこと。特にフロッピーで入稿する場合は、印刷会社との互換性があるかどうか事前に打ち合わせておくこと。せっかく書いた原稿がシステム上使えないこともあるし、文字化けが発生することもある。特に旧式のワープロデータは、使えないことが多い。もし、テキスト形式やMSDOSの機能(共通言語)がついているのであれば、変換して入稿した方がよい。写真についてもデジタルカメラの普及によってデータで入稿する場合が増えてきたが、解像度が低いと印刷に適さないことがあるので注意すること。

(2)フロッピーで入稿する場合(事前に校正をしていることを前提に考えれば)は、印刷所で入力した場合より校正の時間は半減される。生原稿で入稿する場合は印刷会社が入力するので、十分な時間を取って校正に当たる必要がある。校正のポイントは指示通りのレイアウトで組まれているか。誤字、脱字がないか。表記が統一されているかどうか。氏名や役職などが正確か。写真の入れ違いがないかなどである。先にも書いたが、文字組の部分は事前(原稿段階)に入念なチェックをしておくことが、制作をスムーズに進める基本といってよい。組版してから直せばいいという考え方では、時間的にもコスト的にもマイナス要因しかないからだ。特にレイアウトの変更は最初から作業がやり直しになるので、余程のことがない限り行なわないこと。校正は通常2回から3回行なう。ただし、直すための校正でないことを念頭におくこと。カラー印刷の場合は、色校正も必要。校正記号(日本工業規格)を覚えると便利。全国共通である。

(3)コンピュータの普及で、印刷会社に頼まず自分で作る人も増えていると思う。自分たちで出来れば、それにこしたことがない。広報紙や新聞を作る専用ソフトも発売されている。まして少部数であれば、プリンターやコピーでも十分である。コスト面も抑えられるだけではなく、急なお知らせや伝達事項もスピーディーに発行することができる。パソコンが使える人はぜひ挑戦しほしい。手作りの広報紙は、発行しているという実感が大きい。

(4)校正が終わると、いよいよ印刷である。製版、刷版、印刷、製本の作業を経て納品される。納品されたら指定通りにあがっているか、よく確認すること。乱丁、落丁、かすれなど。

◎配布、そして次号の準備

印刷会社から納品されて、ほっと一息だと思うが、広報紙はこれからが本番である。読者にスムーズに配布され、読んでもらわなくては作った意味がない。できれば、同じ日のうちに読者の手元に届くように配布体制を確立しよう。一日遅れてしまったら価値のない情報もある。また、読者の意見や要望を受け付ける窓口も設置しておくこと。アンケート用紙などをいっしょに配布してもよい。時には読者会などを開いて、意見を聞くのもよいだろう。読者の声が次の紙面(企画)を作ることを忘れずに。

ここから次のサイクルが始まる。編集会議を開いて、次の取材へ出かけよう。

お問い合わせ TEL 028-616-6605 受付時間 9時-17時

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